平成12年4月1日から条例が改正され、ごみを燃やすことが難しくなったことは、ご周知のことと思います。
当山でも、それまで使っていた小型焼却炉を撤去しました。
撤去するにあたり色々思い悩みましたが、ダイオキシン問題・煙害などのことを考えて思い切って実行してみました。
焼却炉を撤去してしまうと、今まで燃やしていたごみをどのように処分したらよいか考えましたが、実際には穴を掘りそこに埋めるという単純な方法しかありませんでした。そこで、幅2メートル×長さ20メートル深さ70センチの穴(半年でいっぱいになったのでもう一カ所同じような穴を掘った。)を掘りました。深さを70センチとしたのは雨水などがたまり、もし人が落ちても危険が出来るだけないようにとの配慮からです。
臭いについては、当初は心配して少し離れた所に穴を掘りましたが、全くと言っていいほど、臭いは出ませんでした。
しかし、実行するに当たり以下のような問題がありました。
【お塔婆の問題】
塔婆屋さんによっては、古塔婆を回収している業者もあるようですが、一時的にでも古塔婆は保管しなければならず、業者は電話一本で回収に来てくれるのかも少々疑問が残りました。その様なわけで、お塔婆・白木のお位牌は破砕機にかけ細かくして腐敗が早く進ようにして埋めることとしました。
【お花の問題】
お花をしばっているビニールヒモ・輪ゴム・セロハンは、手間はかかりますが取って、花とつつんでいる紙だけを埋めました。ビニールヒモ・輪ゴム・セロハンは業者に処理をお願いしています。
【その他墓地関係の問題】
ビン・カンなどは分別して業者に処理をお願いしています。
剪定した木の枝などは、そのまま穴に入れるのではなく、破砕機にかけ細かくして入れた方が早く堆肥になるようです。(枝と枝の間に空間が出来てしまうため腐敗速度が遅くなる。)
雑草・落ち葉は、そのまま埋めました。
【紙ゴミの問題】
ストレートカットのシュレッダは持っていたのですが、重要な書類(金額などが印字されたもの)などは、紙を入れる方向によっては、読みとれてしまいます。
シュレッダは、ストレートカットよりクロスカット、クロスカットよりスパイラルカット(裁断サイズ2ミリ×2ミリ)のほうが裁断された物が細かくなるので、ごみとしてかさばらないし、どんな書類を裁断したかも全くわからなくなります。そのような訳で、明光商会のMSシュレッダCー78Xを67,800円で購入しました。
ただ、スパイラルカットは値段が高いのと、裁断枚数が3枚と少ないのが欠点です。裁断枚数が3枚と少ないということで当山では、ストレートカットとスパイラルカットを裁断する物によって使い分けています。
また、段ボールは折り畳んで、事業者一般廃棄物処理手数料減免承認を受けているので、今までと同じように家庭ごみの集積場所に出しています。
【お焚き上げの問題】
焼却炉を撤去して非常に困ったことがひとつありました。それは、お焚き上げでした。今までは脱魂して焼却していたのですが、それができなくなりました。
お仏壇は分解して腐る物と腐らない物に分ければよいのでしょうが、お焚き上げは脱魂してすべて業者に出しています。これだけは、他に良い方法が見つかりませんでした。
以上のような問題点がありましたが、焼却炉を撤去してしまって困ったことは、お焚き上げの問題を除いて今のところありません。
また、ダストボックス(800リットル・鍵付き)を購入したのですが、最初のうちは使用していたのですが、処分の仕方が軌道に乗ってくると全く使用しなくなりました。
当山では幸にも穴を掘る場所がありましたが、なかなかそうはいかない場合も多いのではないかと思います。また、今まで以上に手間もかかります。
しかしながら、環境問題が叫ばれている昨今ですから、私どもも、率先して実行されることが、近隣住民や檀信徒の理解を得られるのではないでしょうか。
なにより、出来た堆肥は庭木の肥料になって大変有効です。
焼却炉問題の一試案を出させていただきました。 |